2013/01/16(水)

ハイヒールとビーチサンダル

5泊6日の東京出張を終え、今朝、KLに戻ってきました。
東京の寒さも忘れ、すっかり元のTシャツ&ビーサン生活です。

いやー、ものすごい雪でしたね、東京!!
過去を振り返っても、なかなかない降り方だったんじゃないかなって思います。
3日間の撮影のちょうど真ん中で降られてしまい、雪に足を取られながら荷物を運搬したり、時間通りにスタジオ入りできるかドキドキしたりと、なかなかスリリングな出張となりました。

しかし、東京で改めて驚いたのは、大雪の翌日にもかかわらず、ハイヒール、ピンヒールの女性をチラホラ見かけたこと。
それしか持ってないのか、どんな天候でもヒールを履く主義なのか、はたまた恵比寿というお土地柄なのか……
坂道をツルツル滑りながら前を歩いているお姉さんを危なっかしく思いつつ、私の頭の中では、正月休みに友人たちと出かけたマラッカで見かけた纏足(てんそく)がぐるぐるぐる……。

纏足はご存じのとおり、「小さい足の女性が美しい」とされた中国での古い悪習ですが、女性から自由を奪う目的などもあったようです。
(纏足の写真や図を直視できる方は、Wikipediaなどを参照してください)

20年以上も前の高校生のときに読んだパール・バックの長編小説『大地』で纏足の詳細を知り、衝撃を受けた記憶はあったんですが、実際に本物を目にしたのは初めてでした。
世界文化遺産にも指定されているマラッカの、美しい伝統的なビーズ細工のサンダルを見たくて古い工房に入ったとき、それは展示されていたのです。

成人女性の足が入るとはとても思えないほどの小ささで、ハイヒールをすっぽり布で包んだようなシルエット。
でも、足首部分はそれなりの太さなので、子ども用でないことはわかります。
なんだかショックで、とてもビーズサンダルどころではなくなってしまい、早々にその工房をあとにしてしまいました。
一緒にいた友人も、相当ショックを受けたようでした。

私が高いかかとの靴を履かなくなってしまったのは、いつ頃からだろう?
バブルの残り香があった大学生の頃は、確かに履いていた記憶があるし、社会人になってからもしばらくは履いていたように思います。

でも、痛いんですよ。
合わない靴を履いて一日過ごすと、夕方には靴に噛み付かれる感じ。
「これ以上はもう一歩も歩けない」という状態になって、途中から靴を脱いで裸足で帰ったこともあります。
そういうガマンを重ねると、外反母趾とかになっちゃうんでしょうね、きっと。
でも、私、幸いその前に辞めました。

うん、そうだ。
思い出した。

20代の後半にさしかかる頃、勤めていた会社を辞め、「これからはホントに好きなことをして生きて行こう!」と誓ったとき、私は自分が苦手ないくつかのことを人生から除いたのでした。
そのうちの1つが通勤電車だったし、1つがかかとの高い靴だったのです。

とはいえ、まったくヒールを履かないのはオンナとしてどうなのよ、というところで、いくつかの履きやすい靴を残し、あとはスッパリサヨナラしました。
10cmのハイヒールは、以来持ったことがないし、試着さえしたことがありません。

そんな私が、人生2度目の「ヒール大処分大会(しかも今度は完全に!)」をしたのは、震災後です。
私、地震の当日に限って、普段はあまり履かない7cmのウェッジソールのスニーカータイプのミュールを履いていたんです。
かかとが高めとはいえ、設置面が多くて歩きやすいウェッジソールだし、スニーカータイプだし、ミュールだし、というところで割と気に入っていた1足だったんですが、やはり緊急のときには歩きにくいことこのうえなかった!!

保育園に急行して息子を確保し、ふたりで歩いて帰る途中、人が道路に溢れ出ていて危険だったので何度も息子を抱えて歩かねばならず……。
しかも保育園の大荷物に加え、自分の仕事の荷物もあり、私は朝、自分がその靴を選んだことを大変、大変後悔したのでした。

でも、あの日、靴で泣いたのは私だけではなかったようで。
当日の夕方、恵比寿でスニーカーを買っている女性を何人も見かけたし、ハイヒールを折って家まで歩いて帰ったという人の話も聞きました。

で、私、震災後の引っ越しを機に、もっていたヒールを冠婚葬祭用の1足を残して全処分。
単純に徳島では履いて行くところがないという事情もあったし、東京に行くときは、オシャレ度が多少落ちても、何があっても大丈夫な靴を履いて行くと決めていたのも理由です。

いえ、何もハイヒールが悪いってことじゃないんですよ。
足がきれいに見えるし、かっこよく履きこなしている人を見かけるとすてきだな〜って思います。

でも、大雪の翌日は、長靴でもいいじゃない?
自分の身の安全を優先させましょうよ。
どうしてもっていうときは、持って出て、安全な場所だけ履き替えればいい。

そして何より足の健康と、自分自身の自由のために、ときどきはハイヒールを休んでもいいのでは? って思うんです。
美しい足が、骨も曲がるほどの痛みと自由の代償だったとしたら……。

自分の足にぴったり合った、一日履いても絶対に足が痛くならないお気に入りのブーツで、大股でワシワシと東京を闊歩する自由って、ホント最高だなって思うんですよ。

いや、えらそうなこと言ってますけど、クアラルンプールでは、ほぼ100%ビーチサンダルの私。

まあ、その色気のなさは、また違った意味で問題だとも思うので、せめて足の爪くらいは手入れしようと、久しぶりにビーサンになった足元を見て誓ったのでした♪

しかし、すごすぎる雪の量でしたね!
環七では、坂を上がれなくなった車がたくさん乗り捨ててありました。
撮影を終えて友人宅に戻る途中、今夜楽しむワインを転倒して割ってはなるまいと、大変、大変、緊張して歩き、やっとの思いでたどり着いたのでした。