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「太陽と月」
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vol.10 笑って暮らそ!(後編) / 文・小倉若葉
[2005.06.09]
ミッション系大学のテニスサークルにいたなんて、今の私しか知らない人には到底信じられないだろう。当然のごとく、私はじきにコンパ専門のユーレイ部員になった。(酒の強さだけは120名中1、2を争っていたため、コンパでは結構重宝がられた。当時はホントに"ザル"だったのだ。)

サークルにも大学にも大して行かず、何をしていたかというと、私はヘラヘラ笑いをしなくてもいい自分の居場所を、必死になって探していた。いろんなバイトを掛け持ちしたし、ときには社会人の集まりにも首を突っ込んだりした。

本気で笑い、本気で生きている人たちに混じったら、私もいつのまにかヘラヘラ笑いをしなくなっていた。同時に、自分の笑った顔もそれほどイヤではなくなった。作り笑顔で写真を撮るより、むしろ本気で笑ったほうがいい顔に写る。今となっては当然のことも、当時の私には大発見だった。

そんなあるとき、ひとまわりも年上の男友だちがこう言った。
「なおよちゃんは笑うと顔が崩れるよね。でも、それがいいよね」
以前の私なら、男性にそんなことを言われようものなら、「失礼ね!」と怒り出し、ムスッとして途端に笑わなくなったはずだった。

けれど、その言葉は本気で笑って暮らすことを選び、それを実行している私への勲章だった。私はちょっとくすぐったく思いながらも、笑ってそれを受け取った。

社会人になり、取材と称しては日本各地を練り歩き、さまざまな人と出会って話を聞くようになってからは、初対面の人からおもしろい話を聞きだすには、「笑顔」がもっとも有効な戦術であることに気づいた。口がうまいとか、仕事が早いなんて二の次なんである。

はじめは警戒心で顔を曇らせていた人も、こちらがそんなのおかまいなしに笑顔で話しかけ続ければ、いつのまにか打ち解ける。おかげで私は新人ながら、何軒かの「取材拒否」の店を口説き落とすことに成功したし、ときには店の奥のお茶の間まで上がりこんで、おやつをごちそうになったりもした。

「最近、よく笑っていますか――」
少々古い話題だが、今年の正月、こんな調査が朝日新聞誌上で発表された。国民の62%が「よく笑っている」と答え、「人を笑わせることが好き」な人も61%にのぼることがわかった。

「おっ、みんな、意外と笑ってるね」
そう思ったのもつかの間、「よく笑っている」と答えた人は、20代で80%、30代で74%、40代で62%と、年齢とともに減っていき、50代以上ではなんと半数程度になってしまう。同様に「人を笑わせることが好き」な人も、年を経るごとに減っていく。一方、「あまり笑わない」人は29%で、年齢が上がるほど増える傾向が見られたというのだ。

うーん、日本人、もっと笑おうよ。"笑う門には福来る"っていうでしょ。笑うと免疫力だってアップすることは、科学的にも実証済み。それに、年を取るほどに楽しい人生じゃなくちゃ、未来を担う子どもたちに申し訳ない。日本国民みんなが心から笑ったら、きっと世界でいちばんいい国になるだろうな、と本気で思う。

最近、笑顔の素敵な大学教授にお会いする機会があった。まじめにコツコツ研究をされているが、失礼ながら商売上手とは言いがたい。だが、彼が出会う人ごとに自分のヴィジョンを丁寧に分かち合う様子や、その人懐こい笑顔を見ていたら、仕舞いには「私でお役に立てることなら何でもやろう」というキモチになっていた。

ふと見渡せば、彼のまわりはそんな支持者たちばかり。これはどんなにお金を積んでも絶対に手に入らないものだ。笑顔は人を呼び、きっとヴィジョンさえ叶えてくれる。

もう一度、そして何度でも言いたい。一度しかない人生だもの、笑って暮らそうよ。
 
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